2010 8/29
  

◇建築不況どう乗り切るか 工事店と販売店の現状

2008年9月のリーマン・ショック以降、世界経済が下降に入り、その影響を受けて日本の経済、産業も停滞してしまった。産業界の中枢といわれる自動車、家電、建築業界も同様に市場の縮小を余儀なくされ、一部の産業で回復は見られるが、全体としてはまだ厳しい状況が続きそうだ。そうした中、ガラス、サッシと直接関連の深いビル、住宅の新築市場は一段と厳しさを増している。住宅着工が80万戸を切る時代となり、マンション、商業ビル、官公庁関係のビルも全国的に新築物件は減少傾向が続いている。果たしてこの厳しい環境下に、ガラス工事店、ガラス・サッシ販売店はどのような体制で臨んでいるのか、現状をルポしてみた。




 

◇住宅エコP開始以降の出荷状況 内窓、4月ピークに伸び幅減〈経済産業省〉

経済産業省は8月18日、住宅エコポイント開始以降7月までの「内窓」と「リフォーム用ガラス」の出荷状況を発表した。内窓は4月をピークに前年同月に比べた伸び幅は減少傾向になっている。リフォーム用ガラスは月別の変化は少ないが、こちらも5月をピークに伸び幅は減少してきている。内窓は、2月が前年同月比78%増、3月は同225%増、4月は321%増、5月は282%増、6月は245%増、7月は184%増。住宅エコポイントの申請受け付け開始後はどの月も大きく出荷を伸ばしている。リフォーム用ガラスは、2月が同92%増、3月は同102%増、4月は136%増、5月は162%増、6月は147%増、7月は127%増。こちらも、内窓ほどではないが、増加の幅は大きい。




 

◇498億円を増資へ 設備投資と借入金返済に〈日本板硝子〉

日本板硝子(クレイグ・ネイラー社長)は8月24日、新株式発行と同社株式の売り出しを決めた。普通株式2億2200万株を公募によって新しく発行、同社普通株式も1200万株を上限に売り出す。第三者割当による新株式も1200万株発行する。今回の調達資金によってA種優先株式の一部の取得と長期借入金の一部返済を予定する。これによって財務基盤を一層強化し、競争力や収益力の向上を図る。今回の国内一般募集、海外募集、第三者割当増資による手取り概算額は上限498億622万円。うち205億円は建築用ガラス、自動車用ガラス、機能性ガラス各事業の製造設備の新設と改修のための設備投資資金とする。45億円は中国でのLow―Eガラスの生産能力拡大を目的に、中国天津市の合弁会社への投資資金に充てる。100億円は2010年10月末までのA種優先株式の一部の取得資金。残額は2013年3月期中までに返済期限を迎える長期借入金の返済資金に充当する。






 

「ファイアライトプラス」は「ファイアライト」の合わせガラス


◇「耐熱」プラス「安全」 特定防火設備認定に合格〈日本電気硝子〉

日本電気硝子(有岡雅行社長)は9月1日、特定防火設備用ガラス「ファイアライトプラス」の日本国内での本格的な発売を開始する。2枚の「ファイアライト」で特殊樹脂を挟んで合わせガラスにすることで、「ファイアライト」の特長である「耐熱衝撃性」に新しく「衝撃安全性」をプラスした。同社の建材代理店である電気硝子建材から販売する。「ファイアライト」は、800度に熱した後に、冷水を掛けても割れないほど熱衝撃に強く、ガラス素材で初めて特定防火設備として認定を受けた超耐熱結晶化ガラス。「ファイアライトプラス」は「ファイアライト」の優れた防火性能(急熱・急冷に強い)を持つ。火災時のスプリンクラーや消火活動の際の放水にも割れない。人や物が衝突しても割れにくく、衝撃で割れた場合でも、破片の落下や飛散の恐れが少ない。生徒が活発に体を動かす学校や、さまざまな人が集まる公共施設、医療施設などに適している。防災意識の高い米国で既に販売している。




 

◇トステムが環境戦略発表 家庭部門CO2削減を〈トステム〉

トステム(東京都江東区、大竹俊夫社長)は8月18日、同社の環境戦略を発表した。同社は未来を脅かす問題として@地球温暖化問題A資源・エネルギー・廃棄物問題B豊かさを享受できない社会C少子高齢化問題D安全・安心問題E地域経済問題F生物多様性問題G教育問題―の8点を提示。特に、温暖化など地球環境問題への対策が急務とし、「家」に携わる立場から、家庭部門のCO2 排出量削減への支援を使命とする。住生活グループと同社の取り組みを紹介し、人と地球にストレスフリーな暮らしを実現するための施策を「トステム環境コミットメント2015」にまとめた。






 

さまざまな納まりに対応する=片流れ+一般


◇太陽熱集熱外壁パネル 納まり、サイズを追加〈新日軽〉

新日軽(東京都江東区、杉本正和社長)は8月17日、太陽熱利用の簡易補助暖房システム「ソーラースパンドレル」の第2弾「ソーラースパンドレルU」を発売。住宅のさまざまなデザインや設置条件に対応できるよう、納まりやサイズ展開を追加した。「ソーラースパンドレルU」は熱伝導率が高く、耐候性に優れたアルミ型材を利用した太陽熱集熱外壁パネル。太陽熱をそのまま利用するパッシブソーラーの補助暖房システム。太陽光で暖められたスパンドレルとく体の間の空気を屋内に取り込むシンプルな構造で、暖房に必要な電気代とCO2 排出量を大幅に削減する。集熱板と給気ファンを取り付けるだけの簡単工事。新築とリフォーム両方に対応する。






 

◇液晶フィルムに黒 より鮮明な映像が可能〈オックスプランニング〉

オックスプランニング(OCCS、東京都渋谷区、三浦巌嗣社長)はこのほど、ガラスが瞬間調光ガラスになる液晶フィルム「TANYO(タンヨー)」(白色)に黒(ブラック)色を追加。白色と同様、電源オフの場合は視線を遮る黒色の状態が、電源オンでは黒色透明に変化する。電源オフだとガラスの向こう側がほとんど見えず、白色と比べて遮へい性が向上。目隠しが必要な重役用会議室や更衣室に適する。従来の白色よりも鮮明に映像を映すことができ、デジタルサイネージ(電子看板)として広告用、文字の多い告知用などにより効果を発揮する。





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